緑の革命 Green Revolution

20世紀なかば、爆発的な人口増加を背景に、科学者や政治家は世界の食料生産を高める事を徹底的に目指していました。その結果生れたのが“緑の革命(Green Revolution)”です。世界を食糧不足から救う事を目的 として生まれた農業革命ですが、同時に、種苗を足がかりとした多国籍企業による農業支配の序幕の意味を持っていたことも指摘されています。“緑の革命”の生みの親と して知られているのは、ノーマン・ボ−ロ−グという農学者です。彼は、世 界の食糧不足の改善に尽くしたとして、1970年にノーベル平和賞を受賞しました。
 1941年、ロックフェラー財団とメキシコ政府が共同でコーンと小麦の開発のため,メキシコにトウモロコシ・小麦改良センターを開設し、高収量品種開発の研究をはじめました。 その後、1962年には米の開発のためにロックフェラ−財団とフォ−ド財団、またフィリピン政府の協力の下に国際稲研究所(IRRI)がフィリピンに作られました。
緑の革命は1960年代から1970年代にか けて世界の食料生産に大きな影響を及ぼし、当初飢餓をなくすと言われていましたが、第三世界に導入されると、伝統的な農業と環境を破壊する事の一つの原因となり、飢餓や砂漠化の原因の一つとなったとする見方もあります。高収量品種はそれに適した農業基盤を必要と したために、当時後進的農業を営んでいた多くのアジア農家は、その恩恵に預かれませんでした。数十年 たった今日では、“緑の革命”は、持続可能ではない農業技術であったとして、多くの疑問の声があがっています。

参考
緑の革命とその暴力 ヴァンダナ・シヴァ著
緑の革命
http://www.vshiva.net/は科学・技術・天然資源政策研究財団などヴァンダナ・シヴァ博士による4つの組織のHPにアクセスするサイトです。
「緑の革命」の始まりは、「赤の革命」に対抗するためのものであった、という、一橋大学、経済地理学水岡ゼミナールによる緑の革命についての論考も御一読ください。

FAO Food and Agricultural Organization

イタリア、ローマにある国連食糧農業機関。農業の発展、栄養の改善、及び食料安全保障(food security)の確保を通じての、貧困と饑餓の撲滅のための、国連の中で最大の専門機関です。

国連食糧農業機関サイト
国連食糧農業機関の日本語サイト

IRRI International Rice Reserch Institute

フィリピンにある国際稲研究所。「緑の革命」で改良品種IR8を農薬、化学肥料とともに、大規模に普及しました。国連はFAOを通じてIRRIを援助しています。

IRRI

●種子戦争

 1980年代前半、バイオテクノロジーの産業利用を契機として、数々の多国籍企業が種苗産業への参入合戦を繰り広げ、「種子戦争」と呼ばれるまでになりました。「種子を制するものは世界を制する」というフレーズは「遺伝子を制するものは世界を制する」と同義のものとして語られました。多くの多国籍企業が、農薬・肥料・農業機械などの農業関連技術・生産資材をF1などの種苗と共に「パッケージ商品」化するという販売戦略により、巨大な農業市場を開拓しました。もはや「タネ」ではなく「遺伝情報」として市場で評価されていると言っても過言ではない状況になっています。日本においては、福岡正信氏をはじめ、自然農法家の方々が種子戦争の危険性について早くから提言されていました。

アグリビジネスに囲い込まれる遺伝子  久野秀二(北海道大学)

●種子汚染(遺伝子移行)Bio Contamination

●F1品種(一代交配種)First Filial Hybrid

 日本語では一代雑種・ハイブリッド品種ともいう交配種のこと。「異なる品種を交配させ雑種を作ると、親より優秀な子ができることを利用した育種方法」で人為的に交雑し、欲しい形質(高収量・味・耐虫・耐病性など)を強化した種のことで、遺伝子の組み換えとは違います。
 F2(雑種第2世代)には、多くの株に親と異なる形質が現れるため、自家採取がむずかしく、毎年種子を購入しなければならなります。

●在来品種・固定種

交配種に対して、人々が自然交配や何年にも渡り選抜淘汰して育種し遺伝的に安定した品種。自家採取で次の世代の種を取る事ができる、ある程度の遺伝的多様性が含まれます。
 在来種はその地で土着したもので広い意味では固定種に含まれます。

●遺伝子組み換え作物Genetically Modified Organisms

 遺伝的に手を加えられ、除草剤耐性(全体の71%)や殺虫性(28%)などの新しい性質を獲得した植物。遺伝子組み替えの技術には「アグロバクテリウム法」などがあり、その技術自体が特許の対象となっています。
 GM作物には、ダイズ、ナタネ、トウモロコシ、綿、ジャガイモ、トマト、テンサイ、スクワッシュなどがあります。

●生物多様性

 生物多様性とは、地球上に存在する多様な生物すべてに違いがあることを意味し、大きく「生態系の多様性」「種の多様性」「種内の多様性」の3つに分けられます。
 生命誕生から40億年の生物進化の結果生み出されてきた生物は、進化の過程で多様に分化し、その生息地域の特性に応じて分布し、それぞれの生物が自然の作用の微妙なバランスの上に存在しています。

●生物多様性条約

 生物多様性に関する条約は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミット(国連環境開発会議)で策定され、1993年に発効した条約で、2001年11月までに日本を含む182カ国が署名しています。
 生物多様性条約は、生態系・種・遺伝子などあらゆるレベルでの生物多様性の保全=生息地の自然状態での保全という考えの下に、地球環境を守る重要性を確認したものです。ポイントは、
 1.生物多様性の保全
 2.生物資源の持続可能な利用
 3.生物遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ公平な配分
であり、ある一つの新しい生物が人為的に環境中に導入されて、ひとたびこのような生態系のバランスが壊されると、環境や人の暮らしに取り返しのつかない影響を与えるということから、遺伝子組換え生物(新しい生物)の環境への導入を適切に管理する必要性が指摘されています。
 また、「諸国が自国の生物の多様性の保全及び自国の生物資源の持続的な利用について責任を有すること」とあり、国内では95年に「生物多様性家戦略」が政府決定され、生物多様性センターが設置されました。

生物多様性条約本文
生物多様性センター

持続可能性、環境、多様性などをエントロピーという視点から検証した循環型社会を実現するための20の視点も参考にごらんください。

●生物の多様性に関する条約のバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書 Cartagena Protocol 

地球サミット(1992年)で発効された生物多様性条約に基づき、生物多様性の保全のために2000年に採択された議定書で、正式名称は「バイオセイフティに関するカルタヘナ議定書」。バイオテクノロジーにより特定の遺伝子を組み込み、病気や害虫などへの抵抗を持たせた遺伝子組み換え生物が越境移動することで、従来の生態系を崩すことを防ぐ目的。輸入国が該当生物の輸入の可否を判断できる制度の導入などが謳われている。国内では、環境省、経済産業省、農林水産省、文部科学省、厚生労働省とともに、財務省も加わり、6省で「カルタヘナ議定書国内担保法(仮称)」取りまとめている。この議定書は、50カ国が締結した日から90日後に発効されることとなっている。 日本では2002年に採択され、締結国に加わっている。
環境省 自然環境局 生物多様性センター
経済産業省 -生物多様性条約 カルタヘナ議定書について

●多様性の中心 center of diversity 

高度の遺伝学的あるいは種の多様性がある地理的な中心地域。

●スターリンク

 欧州のバイオ企業アベンティス社が開発した遺伝子組み換えトウモロコシの品種。米国初の栽培許可取り消し品種。
これは、ヒトへのアレルギー性がある事から、米国では家畜飼料と工業用のみの使用が認められていましたが、結局、米国環境保護庁が栽培許可を取り消す最初のケースとなりました。 ところが、立て続けに、食品であるタコスの皮から検出され、回収騒ぎとなっています。

●ターミネーター・自殺する種子

 種子会社から購入したあるGM種子を蒔くと、発芽して成長し正常に実をつけ種子ができますが、農家がそれを採種し、次の作期に蒔くと、全部“死種”で発芽しません。そのような種子は“自殺する種子”と呼ばれ、ようなことを可能にする最先端の遺伝子組み換え技術をターミネーター・テクノロジーと呼ばれています。 業界的には、農民が種を保存するのを防ぐ方法とはされず、組み換え品種からの望ましくない遺伝子流出を防ぐ方法と解説されています。

 

Peace Seed Org